2014年5月20日火曜日

「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言える子に

 小学校教諭のY・Sです。 
 最近は「ありがとう(ございます)」という言葉が学校現場でもよく聞かれるようになったことは好ましいことです。特にあの「東日本大震災」の後,人と人との繋がりや「絆」の大切さを実感した人々が多くなったようです。でも,無条件の「ありがとう」を言える人はまだまだ多いとは言えないかも知れません。
 それに比べて「ごめんなさい」と言える子が少なくなった気が私はします。これは親の影響もあるのでしょうが,「謝った時点で、自分は負けだ!」とか「謝ることで自分のプライドが潰れる!」とか,勝手に自分自身で決めている風潮のせいでしょか。また,日本も欧米並に「訴訟社会」になってきて,何でも「訴えてやる」というというマスコミ等の刷り込みもあるかも知れません。ミスや恥は,誰にもあります。間違いや失敗は,誰にでもあって,間違いをしても何も悪いことではないのです。そして,謝れる人は本当は偉いのです。逆に謝れない人の方が「敗者」なのです。
 私は,自分の学級の子ども達にはその範を示すことにしています。読者のみなさんも学生時代経験したことがあるでしょう。先生が板書(黒板に字を書くこと)をして間違ったとき,「先生,それ間違っています。」と同級生が言ったときの先生の反応がどうだったか・・・。いきなり怒った先生はいませんでしたか?怒らなくても黙って無視をして,授業を進めた先生は?ちゃんと間違いを認めて直した先生の方が多かったですか?「教えてくれてありがとう。」と言った先生がいたなら,すばらしいです。私も若い頃はなかなかできませんでした。もちろん,「逆ギレ」することはなかったですが,子どもからでも“本当のことで正しいこと”を指摘されると腹が立つのが人情です。そんな時は,ぐっと怺えて「そうだね。」くらいは言って授業を進めていました。
 でも,ここ十数年は,板書の間違いを指摘されると“チャンス!”とばかりに「ありがとう。よく気付いてくれたね。先生でも間違うことはあるんだ。これからも間違ったら教えてね。」と,かなり大げさに褒めます。そうしていくうちに何か間違いや失敗をしても素直に謝る子どもが増えていきます。子どもにもプライドがあり,むやみに「謝りなさい!」と叱ることは却って逆効果です。だからまず先生が率先垂範して謝ることの大切さを教えること,誰かに指摘されるというのは,人からの攻撃ではなく「思いやり」だということを伝えていきたいと思っています。

3 件のコメント :

  1. 先生の御人柄がうかがえます。確かに子どもに間違いを指摘されたり、誤解で子どもを叱ってしまったりしたとき、素直に「ごめんなさい。」がいえる教師・親は、ほんの一握りではないでしょうか。子どもは常に、教師・親の言動を見ています。先生ご自身が見本を見せることは大切ですね。私も今一度、自分を省みるよい機会になりました。感謝します。「ありがとうございます!」

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  2. sionさん,コメントありがとうございます。
    そう言えるあなた様もきっとすばらしい教育者であると推察いたします。

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  3. 自分の間違いを認めるのは勇気が必要ですね。大人になると、とても難しくなります。ですからYS先生は本当に尊敬しています。私が中学の時、ある教師の板書が間違っていて、それを友人が教師に指摘したら烈火のごとく怒り、その教師は感情にまかせて友人を殴ったのです。ぼくらの時代は、こういう教師は無数にいました。今だったら大変ですけど。

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