2017年2月7日火曜日

「生徒M君の成長」

初めまして。中学校教諭のK.Sです。
中学校教諭になって早34年目。教員という柄でもない自分がこんなに長く教員生活をしているなんて自分で驚いています。私が教員になって一番楽しいことは、生徒との何気ない会話で心が通い合っている瞬間を感じたときです。恋の話・悩み事・進路の相談・世の中の問題など、大人同士の会話ができたときは、教員になってよかったなとつくづく感じることがあります。

最近は、年々、低年齢化する生徒たちと高齢化した自分とのギャップを感じ、心を通わせる瞬間が少なくなってきました。そんな中、昨年入学してきたM君との出会いがありました。M君はアトピー体質でちょっと自閉気味。こだわりが強く、コミュニケーションの苦手な生徒でした。1年生の国語の時間、授業が始まった当初は、あまり意欲的な態度ではなく、気分も沈みがちな生徒でした。授業のたびに気になるM君に声をかけました。物語や随筆には全く興味を持ちませんでした。感情を読み取ることの苦手なM君は発問してもとんちんかんな答えを発していました。説明文には興味を持ち、自分の広い雑学を披露しました。
先日のことです。私が授業中「『しかとする』という言葉の語源しっていますか?」と問うと、M君がすかさず、「花札の鹿の絵札からできた言葉です。」と正しい解答をしました。「君はすごいね。いろんなことを知っているね。その知識はきっとこれから役にたつよ。」と称えました。また、彼の書いた環境汚染の作文は内容が深く、話の流れもたくみでした。私は「M君は理数系が得意なんだね。専門的な知識が深いので、学者タイプだね。」と声をかけました。

教室のみんなの前でほめられたM君は、それから、授業によく参加し、自分の思いや考えを積極的に発表するようになりました。そして「僕は将来大学教授になるんだ。」と明るく話してくれました。内にこもっていたM君が旧友と元気に談笑している姿を見てうれしくなりました。

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