2018年11月7日水曜日

 みなさまこんにちは。小学校教員Y・Yです。
 今回は新たに赴任した学校でのささやかな体験をお伝えしようと思います。その学校は700名近くの児童数の学校で、今まで通り音楽専科として勤めることが決まり、喜びいっぱい赴任前の挨拶に春休みに行きました。そこで校長先生から意外なお話がありました。その学校には高学年に複数のADHDと診断された児童が数名いてそのうちの何名かがかなり勝手な行動をするためにその学級が崩壊状態になったと聞きました。
「先生が来てくれて良かった。もしも、何かあれば、我々管理職や担任を監視役として呼んで下さい。」
といわれ愕然としました。順風満帆で音楽好きの児童ばかり指導してきたので一気に今までにない不安を感じました。しかし、『この星で生きる』という本に次のように書かれていました。
「環境や職場、学校が変わった時など不安を感じるのが人間だが、そんな時こそ、これから素晴らしいこと、楽しいことが待ち受けていると心に決めてしまうのがいい。なぜならこの世界は"心でつくる"ものだから。」
この言葉に勇気づけられ、心をプラスの方向に向けることにしました。

 着任式の日、体育館の後の方でうろうろする背の高い児童が目にとまりました。フードを被り棒を持っていたA君でした。正直、驚き、「祈りしかない」と感じました。その日から必ず学校と子ども達全員の素晴らしさを祈るようにしました。

 授業の最初の日A君は遅れて音楽室に入ってきて席には座らずに音楽室の隅のキーボードのところに座りました。私はとりあえず別の児童に向け授業をし、終わってから「A君、弾くのが好き?」と聞くと、まんざらでもなさそうなので、「次の時間から、パート別の合唱の練習の時、音取り係をしてくれる?」聞くと「いいよ。弾いてやる。」と上から目線の答え。しかし、休み時間に弾き方を教えるとできそうだなと感じました。。次の時間、合唱のパート別練習で音取り係として上手にキーボードを弾くA君を見て他の児童が、「すごい。A君弾けるんだ。上手だね。」と口々に言うので私はうれしくなりました。授業の最後に「A君がみんなのために練習してくれたことは素晴らしいことだね。でもA君の努力を優しく認めほめてあげたみんなの姿も素晴らしく先生はうれしかった。友達の良いところを見つけるみんなは心がきれいなんだね。」と話すとみんながにこにこして暖かい雰囲気になりました。その後A君は始めと終わりの挨拶の和音も覚え、挨拶担当もするようになりました。音楽が楽しいと言って、誰よりも早く音楽室に来るようになりました。自分が人の役に立つことがうれしかったのだと感じました。

  一人一人の大切な命、無駄な命なんて一つもない。A君がいてくれたから学べる事もあるということが他の子ども達にも分かってもらえたようです。色々な個性を受け入れながら認め合い思いやる暖かい人間に成長していってもらいたいと思いました。無限にたてに伸びることは美しく素晴らしいことです。しかし、また、愛を持ってムスビの世界を展開していくことも美しく素晴らしいことだと思います。

1 件のコメント :

  1. そうですよね。ひとりひとりが尊い存在なんですね。私が小学校の時、リコーダーがぜんぜん吹けない子がいたんですが、夏休み明けに、とても上手に吹けていたんです。驚いた僕は、彼に聞きました。すると、「休み中、お母さんと一緒に練習したんだよ」とのこと。みんな無限力があり、練習がそれを引き出すのだと痛感しました。

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